「今年こそ毎日英単語をやる」と決めたのに、3日目の夜にはもう単語帳を開かなかった。 続かないのは意志が弱いからではなく、続ける仕組みを作っていないからだと、習慣の本の多くが説明しています。 このページでは、続けたいことを5分で終わる量にして毎日必ずする行動の直後に置き、やった日はカレンダーに○を付けて、2日続けては休まないやり方を勧めます。

結論

続けたいことを1つに絞り、準備も含めて5分で終わる量に決めます。この量を、ここでは最小版と呼びます。 最小版は、「夕食の後に歯をみがいたら」のように、毎日必ずする行動の直後にやると決めます。 やった日はカレンダーの日付に○を付けます。1日休むのは構いませんが、2日続けては休みません。

それでも続かないときは、下の5つの原因のどれに当たるかを確かめて、対処を替えます。

毎日する行動をしたら、5分で終わる最小版をやり、カレンダーに○を付ける。○の並ぶカレンダーで、空欄を2日並べないことを示す図
毎日する行動の後に5分の最小版をやり、カレンダーに○を付ける

原因を確かめる

習慣と勉強法の本が挙げる、続かない原因は大きく次の5つに分けられます。 ここで扱うのは、始めたのに続かないときです。 1回目に手をつけること自体ができないなら、勉強のやる気が出ないときの対処法や先延ばし癖の記事のほうが合います。

原因 当てはまるかを確かめる問い
量が多すぎる 今決めている量は、疲れて帰った日でも、準備を含めて5分で終わるか
きっかけが無い その習慣を「〇〇したら、△△する」の1文で言えるか
始める手間が多い 始めるまでに、物を出す、場所を移るなどの手間がいくつあるか
続いているか分からない この2週間で何日できたか、数で答えられるか
1日休むとやめてしまう やれない日が来たらどうするか、前もって決めてあるか

いくつも当てはまるのは普通です。 当てはまったものから、1つずつ下の対処を試します。

量が多すぎるなら5分で終わる量にする、きっかけが無いなら毎日する行動の後に置く、始める手間が多いなら道具を出したままにする、続いているか分からないならカレンダーに○を付ける、1日休むとやめてしまうなら2日続けて休まない、という原因と対処の組を示す図
続かない5つの原因と、それぞれの対処

気分の落ち込みや眠れない状態が長く続く、何も手につかないなど、学校や仕事、生活に支障が出ている場合は、このページの方法で乗り切ろうとせず、学校の先生やスクールカウンセラー、職場の相談窓口、医療機関、公的な相談窓口に相談してください。

原因ごとの対処

量が多すぎるなら、準備も含めて5分で終わる量にする

三日坊主のいちばんよくある原因は、最初の量が大きすぎることです。 「毎日1時間」と決めると、部活や残業で疲れた日に守れず、そこから崩れていきます。 始めの量を思い切って小さくする点は、習慣の本の多くが一致しています。

小ささの目安は、2分、5分、腕立て伏せ1回など、本によって分かれます。 このページでは、準備も含めて5分で終わる量を勧めます。 5分あれば単語帳の1ページや計算問題の1問に届き、それでいて疲れた日にも削らずに済む短さだからです。

「準備も含めて」を抜かすと、続きにくくなります。 移動や着替えに時間がかかると、作業そのものは5分でも続かなくなる、とする本もあります。 教材を探すだけで5分が過ぎるなら、量を減らすか、下の「始める手間」の節で準備を減らします。

勉強なら、最小版は次のような形にします。

  • 英単語は、単語帳を1ページ、意味を隠して思い出す(アクティブリコール、本を閉じて思い出すやり方)。
  • 授業の復習は、ノートの左に書いた問いに1つ答える(勉強ノートのまとめ方)。
  • 計算は、問題集を1問解く。
  • 読書は、本を2ページ読む。

最小版の5分は、毎日必ずやる約束の量です。 その日に5分を超えて続けるのは自由で、20分続いた日はそのまま続けて構いません。

長く続けたい日は、25分の作業と5分の休憩をくり返すポモドーロ・テクニックの区切りを使います。 パソコンなら、このサイトのポモドーロタイマーで25分を数えられます。

ただ、余分にやった日があっても、翌日の約束は5分の最小版のままにします。 最初の30日は、この約束の量を増やしません。 調子のよい日に合わせて約束を上げると、疲れた日にまた守れなくなるからです。

きっかけが無いなら、毎日する行動の後に置く

「時間があるときにやる」と決めただけでは、始める合図がありません。 いつ・どこでやるかを先に決めておくと実行しやすくなる、という研究を多くの本が紹介しています。 心理学では、この決め方を実行意図と呼びます。

ジェームズ・クリアーの『複利で伸びる1つの習慣』で紹介されている研究では、2週間にわたって運動の習慣を調べました。 翌週のいつ・どこで運動するかを文に書いた組は、91%が週1回以上運動しました。 運動の記録だけをした組と、運動の効果の説明も受けた組は、35〜38%にとどまりました。

合図には、時刻より、毎日必ずする行動を使います。 「夜にやる」と時間帯で決めると、その時間に何をしているかが日によって違い、動けない日が出るからです。 すでにある習慣を合図にする点は、多くの本で一致しています。

毎日する行動 その直後にやる最小版
夕食の後に歯をみがいたら 単語帳を1ページ、意味を隠して思い出す
帰って手を洗ったら 問題集を1問解く
風呂から出たら 前の日に覚えた範囲を、何も見ずに書き出す
通学の電車に乗ったら 本を2ページ読む

前の日の範囲を毎日思い出す流れは、日をあけて同じ範囲を思い出し直す分散学習にそのままつながります。 最小版と合図は「〇〇したら、△△をやる」の1文にして1枚の紙に書き、その行動をする場所に貼ります。

始める手間が多いなら、道具を出したままにする

続けるのに意志の力をあてにしない点は、多くの本で一致しています。 気合いは切れる日があり、その日に習慣も止まるからです。 代わりに、始めるまでの手間を1つずつ減らします。

電子ピアノを毎回押し入れから出す手間が続かない理由だと気づき、出しっぱなしにしたら毎日弾けるようになった、という例を挙げる本もあります。 勉強なら、単語帳を合図の行動をする場所の近くに、開いたまま置きます。 運動なら、走る服を前の晩にベッドの横に置いておきます。

やる場所も、毎日同じにします。 ふだん休んでいる自分の部屋より、リビングの机のように休む習慣のついていない場所のほうが続きやすい、とする本もあります。 自分の部屋にはすでに休む習慣ができていて、それを崩すより、まだ何の習慣もない場所に新しい習慣を作るほうが楽だからです。

反対に、スマホのようにやめたいものは手間を増やします。 遠ざけ方は勉強に集中できないときの記事にまとめています。

続いているか分からないなら、やった日にカレンダーへ○を付ける

記録が無いと、「だいたい続いている」と思ったまま、何日できたかを答えられません。 記録を勧める点は、習慣の本にも勉強法の本にも共通しています。 小さな達成を記録して目に見えるようにすると、「自分にもできる」という感覚が育つ、と説明する本が複数あります。

やり方は、最小版を終えたらすぐ、カレンダーのその日の日付に○を付けるだけです。 記録する習慣は1つだけにします。

やらなかった日は空欄のまま残し、後から○を書き足しません。 空欄が目に入ると、崩れかけていることに早く気づけます。

○を何日付ければ習慣になるかは、人と行動によって大きく違います。

オウェイン・サービスとローリー・ギャラガーの『行動科学が教える 目標達成のルール』などで紹介されている研究では、大学に入ったばかりの学生が「朝食の後に散歩する」のように、決まった合図で同じ行動をくり返しました。 意識せずにできるようになるまでの日数は、平均66日でしたが、18日の人も254日の人もいました。

だから、このページでは日数を「習慣になる日」とは考えず、最初の区切りを30日に置きます。 最初の3週間や1か月を区切りにする本が複数あり、カレンダー1枚分で数えやすいからです。 30日たったら、量を少し増やすか、次の習慣を1つ足すかを決めます。

やらない日に落ち着かなくなったら、身についてきた合図だとする本が複数あります。 次の習慣は、身についた習慣の直後に置きます。 たとえば読書が続いたら、読み終えた本の線の所を読書ノートに書く習慣を足せます。

1人では続かない人は、○を付けたカレンダーを、週に1回家族や友人に見せる手もあります。 堀田秀吾の『セルフコントロール大全』で紹介されている研究では、目標を思い浮かべるだけの組に比べて、目標と、そのためにする行動を友人宛てに書き、進み具合の記録も送った組は、達成した割合が約1.8倍でした。

1日休むとやめてしまうなら、2日続けて休まない

続かなくなる典型は、1日休んだのをきっかけに、そのまま戻らなくなることです。 戸田大介の『継続する技術』は、著者が作った習慣のアプリの利用データで、1日休んだのを境にやめた人が多く、2日続けて休むとさらに増えたと示しています。

このページでは、1日休むのは許し、2日続けては休まないことを勧めます。 1回の休みは仕方がないとしたうえで、続けて休まないことを求める点で、複数の本が一致しているからです。 カレンダーで言えば、空欄を2日並べないということです。

休んだ翌日は、いつもの合図で最小版の5分をやるだけで構いません。 それで、空欄は1日で終わります。

7日分のカレンダーの列が2つある図。上の列は、やった日の○が3日続いた後に休みの空欄が1日あり、翌日から○がまた3日続く。下の列は、○が3日続いた後に休みの空欄が2日並び、その後の2日は止まって点線の枠だけになっている
1日休んでも翌日に戻り、空欄を2日並べない

やれない日の動き方は、その日ではなく前もって決めておきます。 その場で「今日は特別」と例外を作ると崩れる点は、多くの本で一致しています。 崩れやすいのは、旅行や帰りが遅い日のように、いつもの合図の行動が無い日です。

そういう日のための代わりの合図を1つだけ決めて、最小版と合図を書いた紙に書き足します。 たとえば「帰りが22時を過ぎた日は、帰りの電車で単語帳を1ページ」のようにします。

完璧にできないならやらない、という考え方のほうが習慣を壊すとする本もあるので、休んだ日を責めるより、翌日に○を1つ付けることに力を使います。

今日やること

  1. 続けたいことを1つ選び、準備も含めて5分で終わる最小版を紙に書く。たとえば「単語帳を1ページ、意味を隠して思い出す」。
  2. 毎日必ずする行動を1つ選び、「〇〇したら、最小版をやる」の1文を同じ紙に書き足して、その行動をする場所に貼る。
  3. 今日その行動の後に最小版を1回やり、カレンダーの今日の日付に○を付ける。

明日からも、やった日に○を付けます。1日休んでも、2日続けては休みません。 30日たったら、量を増やすか、次の習慣を足すかを決めます。

よくある失敗

  • 「月曜から」「来月から」と、きりのいい日を待つ。決めたその日に1回目をやります。
  • 勉強と運動と読書を同時に始める。最初の30日は1つに絞ります。
  • 「夜にやる」「時間があるときにやる」と、時間帯だけを決める。
  • 調子のよい日に合わせて、最初の30日のうちに最小版の量を増やす。
  • やらなかった日を空欄にせず、後から○を書き足す。
  • 「今日は特別」と、その場で休む日を作る。
  • 66日のような日数を「習慣になる日」と考え、その日を過ぎても身についていないと失敗だと思う。日数を目標にすると、届かなかったときに再挑戦しなくなる、と注意する本もあります。
  • 三日坊主で終わったとき、自分を責めるだけで、上の表で原因を確かめない。