机に向かって10分もしないうちに、気づけばスマホを触っている。 多くの本は、集中を奪うのは意志の弱さより、手の届く所にある物と勉強の区切り方だと説明しています。 このページでは、スマホを別の部屋に置いて25分だけ1つのことをし、それでも気がそれたら、そのきっかけから原因を見分けて対処することを勧めます。
結論
最初に試すのは、スマホを別の部屋に置いてから、タイマーを25分にして1つのことだけをするポモドーロテクニック(25分の作業と5分の休憩をくり返す時間の使い方)です。 25分の間に気がそれたら、何がきっかけだったかを手元のメモに1行で書きます。 25分が終わったら、そのきっかけを下の5つに当てはめ、合う対処を1つだけ足してください。
原因を確かめる
気がそれたきっかけは、次の5つのどれかに分けて考えます。 きっかけを思い出せないときは、右の列の問いで当てはまるものを探してください。
| 気がそれたきっかけ | 当てはまるかを確かめる問い |
|---|---|
| スマホや物が目に入った | 机の上に、今使う教材と筆記用具のほかに何かあるか。スマホは手の届く所にあるか |
| 休憩が長引いた | 5分のつもりの休憩で、SNSや動画を開いていないか |
| 何をするか迷った | 机に向かった時点で、最初に解く問題が決まっていたか |
| 音や用事に気が向いた | 歌詞のある曲や動画が流れていないか。勉強と関係のない用事を考えていなかったか |
| 眠い・空腹・暑い寒い | 眠気、空腹、暑さや寒さのどれかを我慢しながら座っていないか |
自分がどんな場面でスマホに手を伸ばすのか、そのきっかけを知るよう勧める本もあります。 きっかけが分かれば、直す所を1つに絞れます。 メモに書くのは、そのためです。
集中できない状態が長く続き、授業や仕事、生活に支障が出ている場合や、気分の落ち込みや眠れない状態が続く場合は、このページの方法で乗り切ろうとせず、学校の先生やスクールカウンセラー、医療機関、相談窓口に相談してください。
原因ごとの対処
スマホや物が目に入った:スマホは別の部屋へ、机には今使う教材だけを出す
原因は、気を散らす物が目と手の届く所にあることです。 多くの本が、勉強中のスマホは別の部屋に置き、机の上は今使う教材と筆記用具だけにするよう勧めています。
医師の安川康介と、京都大学に首席で合格した粂原圭太郎は、それぞれの勉強法の本で同じ研究を紹介しています。 大学生に、スマホを手の届く所(机の上、ポケットやかばんの中)か、別の部屋に置いてもらい、頭を使う課題を解いてもらいました。 すると、別の部屋に置いた人たちのほうが、手の届く所に置いた人たちより成績がよかった、というものです。 スマホを使っていなくても、近くにあるだけで頭の働きが落ちることがある、と読めます。
別の部屋に置けないときは、消音にして、引き出しのように目に入らない所にしまいます。 机に伏せて置いても、手の届く所にあることに変わりはありません。
机の上も同じ考え方で片づけます。 出すのは、今使う教材1冊と筆記用具、メモ用紙1枚だけです。 教材を1冊に絞るのは、次にどれを開くか迷う場面を減らすためです。
休憩が長引いた:25分で止め、5分の休憩は体を動かす
1回の勉強が長すぎたり、休み方が机に戻りにくい形だったりすると、休憩が長引きます。 集中は長く続かないので、疲れ切る前に区切って休むよう、多くの本が勧めています。
区切る長さは本によって違います。 このページでは、ポモドーロテクニックと同じく25分の作業と5分の休憩から始めます。 この長さなら「これだけやればいい」と思えて、始めるのが軽くなるからです。
タイマーが鳴ったら、問題の途中でも手を止めます。 「きりのいいところまで」と延ばすと、疲れ切ってから休むことになり、休憩が長引いて机に戻れなくなるからです。
5分の休憩では、立って歩く、水を飲む、伸びをする、のように体を動かし、スマホは見ません。 堀田秀吾・木島豪の『セルフコントロール大全』が紹介している研究では、昼休みにネットやSNSを見た人は、散歩や会話をした人より午後の疲れが大きくなりました。 画面を見る休憩は、頭が休まらないうえに、切り上げどきも分かりにくくなります。
タイマーは、スマホ以外のものを使います。 パソコンで勉強するなら、このサイトのポモドーロタイマーをブラウザで開けば、25分と5分を切り替えて数えられます。 25分でも長いと感じる日が1週間続いたら、作業を15分に縮めます。
何をするか迷った:最初の1問を決めておく
原因は、やることが決まっていないか、教材の難しさが自分に合っていないことです。 机に向かってから何をやるか考え始めると、迷っているうちにスマホや別のことに流れてしまいます。
だから、前日のうちか机に向かう前に、その日にやることを量で書き出しておきます。 「数学の問題集を進める」ではなく、「問題集の12〜15ページ」のように書き、そのうち最初に解く1問に印を付けます。 印は、問題番号を丸で囲むだけで構いません。
難しさが合っていないときも、手が止まって気がそれます。 サイエンスライターの鈴木祐が紹介している研究では、外国語の単語を覚えるときに難しさを3段階に分けたところ、「なんとか解けそう」な単語に取り組んだ人の集中がいちばん高く、「簡単」な単語の人がいちばん低くなりました。 難しすぎる教材は続けるのがつらくなる、と書いた本もあります。
このページでは、解いてみて3問のうち2問は自力で解ける教材を目安にします。 粂原が、3分の2ほど分かる教材をちょうどよい難しさとしているのに合わせた目安です。 半分も解けないなら、1段易しい教材に戻ります。
反対に、教科書を読み返すだけで眠くなるなら、このページではアクティブリコール(教科書を閉じて、覚えたことを何も見ずに書き出す練習)に切り替えることを勧めます。 何も見ずに思い出そうとすると、少し考えれば出てくる所と、どうしても出てこない所に分かれます。 その「少し考えれば出てくる」くらいの手応えが、「なんとか解けそう」なちょうどよい難しさに当たるからです。
音や用事に気が向いた:音を止め、浮かんだ用事は紙に書く
勉強しながら曲や用事に気を取られているときは、注意が2つに割れています。 2つのことを同時にすると集中も成績も下がる、と多くの本が書いています。 人は同時にこなしているつもりでも、実際には注意を素早く切り替えているだけだからです。
安川が紹介している研究では、メッセージをやり取りしながら勉強した大学生は、携帯を見えない所に置いた大学生より、勉強の後のクイズの点が低くなりました。 勉強している間は、動画を流すのも、メッセージに返信するのもやめます。 返信は、休憩の時間にまとめてします。
音楽は、勉強の間は止めます。 歌詞のある曲は歌詞に注意が向くので避けるよう、複数の本が勧めています。 歌詞のない曲でも、覚える作業では注意が向いてしまうとする本もあります。
もう1つの理由は、試験を音楽なしで受けることです。 医師のめろんが紹介している研究では、覚えるときと思い出すときの環境が同じほうが、思い出しやすくなりました。 だからこのページでは、曲を選ぶより、止めて試験と同じ静かな状態で勉強することを勧めます。
頭に浮かんだ用事は、紙に書いて頭の外に出します。 書かずにいると、忘れないように頭の片隅で抱え続けることになり、目の前の問題に集中できないからです。
机の端のメモ用紙に「母にプリントを渡す」のように1行で書いたら、すぐ問題に戻ります。 書いた用事は、休憩か勉強の後にまとめて片づけます。 スマホのメモを使わないのは、手に取るとそのまま画面を見始めやすいからです。
眠い・空腹・暑い寒い:我慢せず、切り上げて寝る、食べる、温度を整える
原因は、眠気や空腹、暑さや寒さといった体の不快を我慢していることです。 我慢したまま座り続けても集中できない、と複数の本が書いています。
眠いときは、その日の勉強を早めに切り上げて寝て、続きは翌日に回します。 睡眠を削って勉強時間を増やしても、集中できない時間が増えるだけになりかねません。 お腹がすいているなら先に食べ、暑さや寒さは服や部屋の温度を整えてから座ります。
眠気やだるさが何日も続く、気分の落ち込みが続く、という場合は、勉強のやり方で解決しようとせず、上の注意書きにある相談先に相談してください。
今日やること
5分あれば、次の4つで最初の25分を始められます。
- スマホを消音にして、別の部屋に置く。
- 机の上を、今日使う教材1冊と筆記用具、メモ用紙1枚だけにする。
- 最初に解く問題を1つ決め、タイマーを25分にセットして始める。
- 気がそれたら、きっかけをメモに1行で書いて、すぐ問題に戻る。
タイマーが鳴ったらメモを見て、きっかけを上の5つと見比べます。 次の25分で直す所は、いちばん多かったきっかけの1つだけにします。
よくある失敗
- スマホを机に伏せて置き、「触らない」と決める。手の届く所にあることは変わりません。
- 「きりのいいところまで」と延ばし、疲れ切ってから休む。休憩が長引いて、机に戻れなくなります。
- 5分の休憩でSNSや動画を開く。切り上げどきが分からず、気づけば長く休んでいます。
- 机に向かってから、何をやるか考え始める。
- 動画を流したり、メッセージに返信したりしながら勉強する。
- 眠気をこらえて座り続ける。