「やる気が出たら始めよう」と思いながらスマホを見ていたら、もう寝る時間になっていた。 やる気は待っていても出てきにくく、手をつけてしばらくしてから上がってくることが多いと、多くの勉強法の本が説明しています。 このページでは、やる気を待たずにタイマーを5分にして始め、それでも手が止まるときは原因を確かめて、原因に合う方法に替えることを勧めます。
結論
やる気が出るのを待たずに、タイマーを5分にして、教材の最初の1問だけを解きます。 タイマーが鳴ったらやめてもよく、そのときは教材を閉じる前に、次にやる範囲を1行で書きます。 5分やっても手が止まるなら、やる気の量ではなく、やり方や環境のどこかに原因があります。 下の問いで原因を確かめて、合う方法に替えます。
原因を確かめる
勉強法や習慣の本が挙げる原因は、大きく次の5つに分けられます。 1つ目は、結論の5分で対処できます。 それでも手が止まるなら、2つ目から下を確かめます。
| 原因 | 当てはまるかを確かめる問い |
|---|---|
| やる気が出るのを待っている | 「やる気が出たらやろう」と思ったまま、机に向かわずに過ぎた時間が今日あったか |
| やることが決まっていない | 今日やる範囲を「教材名と何ページ(何問)」で言えるか |
| スマホが近くにある | 勉強する机から、スマホが見えるか、手が届くか |
| 教材が難しすぎる | 今の教材の問題を3問解いて、自分で2問を解けるか |
| 勉強する意味が見えない | その科目ができると自分の何がよくなるか、一文で言えるか |
いくつも当てはまるのは普通です。 当てはまったものから、1つずつ下の対処を試します。
気分の落ち込みや眠れない状態が長く続く、学校や仕事に行くのがつらいなど、生活に支障が出ている場合は、このページの方法で乗り切ろうとせず、学校の先生やスクールカウンセラー、医療機関、相談窓口に相談してください。
原因ごとの対処
やる気を待っているなら、5分で終わる大きさにして始める
やる気は、作業を始めてしばらくしてから上がってくることが多いものです。 勉強法や行動の本のうち5冊が、この現象を作業興奮という名前で紹介しています。 ただ、どの本も元になった研究までは示していないので、このページでは「始めると調子が出てくることが多い」という経験則として扱います。
だから、やる気を出そうとするより、始める動作のほうを小さくします。 最初の一歩をごく小さくする点は、勉強法の本にも習慣の本にも共通しています。 このページが5分を勧めるのは、気が重い日でも始められる短さで、しかも1問を解くか1ページを読むところまでは届くからです。
手をつける作業も、軽いものから選びます。 前回の続き、好きな科目、すぐ解ける計算問題のように、迷わず手が動く作業で調子を上げてから、重い課題に移ります。
調子が出てきたら、タイマーを25分にかけ直し、25分作業して5分休むポモドーロテクニックの区切りで続けます。 その日の勉強は、1問を残したところで終えておきます。 翌日はその続きから、迷わずに始められます。
やることが決まっていないなら、「いつ・どこで・何を・どれだけ」を1行で書く
やる気が足りないと感じるとき、実際に足りないのは、何をどこまでやるかの見通しであることがよくあります。 「英語を頑張る」のような大きな目標は、ぼんやりしていて、後回しにされやすいからです。
書くのは、「夕食の後、リビングの机で、英単語帳の30〜40ページ」のような1行です。 いつ・どこで・何をするかを先に決めておくこのやり方は、心理学で実行意図と呼ばれ、習慣の本や先延ばしの本が勧めています。
このページでは、どれだけやるかを、時間ではなくページ数や問題数で書くことを勧めます。 量で決めておけば、始めるのが遅れた日も、その日にやる分が変わらないからです。
スマホが近くにあるなら、別の部屋に置く
誘惑に意志の力で勝とうとせず、目に入らない所へ遠ざける点は、多くの本で一致しています。 安川康介の本『科学的根拠に基づく最高の勉強法』で紹介されている研究では、スマホを別の部屋に置いた大学生のほうが、机の上やポケット、かばんの中に置いた大学生より、記憶や注意を測るテストの成績がよくなりました。 使っていなくても、手の届く所にあるだけで差が出たことになります。
別の部屋に置けないときは、通知を切り、気になるアプリをホーム画面から外します。
スマホの次に見直すのは、勉強する場所です。 ベッドやソファのそばのように、ふだん休んでいる場所では、勉強に気持ちが切り替わりにくくなります。 勉強は、休む習慣のついていない机でやると決めます。
教材が難しすぎるなら、3問中2問が解ける難しさに合わせる
歯が立たない教材は、手をつける気持ちそのものを奪います。 かといって易しすぎても、退屈してやる気は続きません。 ちょうどよさの目安として、3分の2くらい分かる教材を選ぶよう勧める本もあります。
このページでは、教材の問題を3問解いてみて、自分で2問を解けるかで確かめることを勧めます。 解けるかどうかは、読んだときの感触より、実際に解いた結果のほうが当てになるからです。 0〜1問しか解けなければ1段易しい問題集に戻り、3問とも楽に解ければ1段難しいものに進みます。
もう1つは、できた実感を目に見える形で残すことです。 小さな目標を達成した経験が積み重なると「自分にもできる」という感覚が育つ点は、複数の本で一致しています。 勉強した教科とページ数、解けた問題数を、1日1行ずつ書き残します。
アクティブリコールのように教科書を閉じて書き出す勉強なら、何も見ずに書けた量で伸びを確かめられます。 日をあけて同じ範囲を書き出す分散学習と組み合わせると、前の回より書けるようになったことが分かります。
勉強する意味が見えないなら、自分との関わりを3行書く
「何のために勉強するのか」が分からないときは、その答えを自分で書き出します。 安川の本と、アーリック・ボーザーの学習法の本『Learn Better』は、同じ種類の研究を紹介しています。 高校生を対象にした研究と、大学の統計学の授業での研究で、どちらも授業の内容が自分の生活や将来とどう関わるかを書かせたところ、やる気や成績が上がりました。
親や先生に「大事だから」と言われた理由より、自分で見つけた理由のほうが効く、という本もあります。 「英語ができると、好きな海外のドラマを字幕なしで見られる」のように、その科目ができると自分の何がよくなるかを3行書きます。
今日やること
- タイマーを5分にする。
- 教材を開き、最初の1問だけ解く。
- タイマーが鳴ったら、続けるかやめるかを決める。やめるときは、教材を閉じる前に、次にやる範囲を1行で書く。
5分やっても手が止まった日は、上の表で原因を確かめます。 スマホが見えていたなら、次の日は始める前に別の部屋へ置きます。
よくある失敗
- 「明日から頑張る」と決意だけして、時間の使い方を変えない。
- 最初から一番重い課題に手をつけて、5分で嫌になる。
- 「英語を頑張る」のような大きな目標だけを立て、今日やる範囲を決めない。
- スマホを机の上に伏せて置き、「触らない」と決める。伏せても、手の届く所にあれば気が散ります。
- 始めるつもりで、机の片付けやネットに流れる。片付けは1〜2分で切り上げて、教材を開きます。
- 一日休んだのをきっかけに、全部やめてしまう。休んだ翌日は、5分だけでも机に戻ります。休んだ後の戻り方は、習慣化のページにまとめています。