ノートを何度も読み返して覚えたつもりだったのに、テストでは答えが出てこない。 読み返す勉強は、頭に入れる練習にはなっても、頭から取り出す練習にはなっていないからです。 このページでは、読み返す時間の一部を、教科書を閉じて白い紙に書き出し、答え合わせをして、翌日と1週間後にもう一度書き出す時間に替えることを勧めます。

ひとことで

アクティブリコールは、教科書やノートを閉じて、学んだことを何も見ずに思い出す練習です。 想起練習とも呼ばれます。 読み返しが頭に「入れる」練習なら、こちらは頭から「取り出す」練習です。

読み返すのは教科書から頭へ入れる練習で、思い出すのは頭から白い紙へ取り出す練習であることを示す図
読み返すと思い出すは、情報の向きが逆

なぜ効くか

思い出す作業そのものが記憶を強くし、しかも覚えていない所を教えてくれるからです。 そのうえ、読み返しで得られる「覚えた」という手応えは当てになりません。

読んだ数分後のテストでは読み返しがわずかに上だが、1週間後のテストでは思い出したほうがはっきり上になることを示す概念図
思い出す練習の効果は、時間がたってから表れる(数値のない概念図)

思い出すたびに、記憶は取り出しやすくなる

何も見ずに思い出すと、そのつど記憶が作り直され、次に取り出しやすい形に変わっていくと考えられています。 竹内龍人『実験心理学が見つけた 超効率的勉強法』と、ワインスタインらの『認知心理学者が教える最適の学習法』は、答え合わせをしなくても思い出すだけで効果があった研究を紹介しています。

安川康介『科学的根拠に基づく最高の勉強法』とワインスタインらの本は、同じ1つの研究を紹介しています。 大学生が文章を2回読む場合と、1回読んでから何も見ずに書き出す場合を比べた研究です。 読んだ数分後のテストでは、読み返したほうがわずかに上でした。

ところが1週間後のテストでは、書き出したほうがはっきり上になりました(2日後のテストでも同じでした)。 上の図の「数分後」と「1週間後」は、この2つのテストを表しています。

試験は、勉強した日から何日もたってから来ます。 だから、勉強の時間は数日後に残るほうへ使います。

書けなかった所が、次に読む場所になる

白い紙に書き出すと、書けた所と書けなかった所がはっきり分かれます。 読み返しでは、どこを覚えていないかが分かりません。 書けなかった所だけを読み直せば、すでに覚えている所を読む時間を減らせます。

読み返しの手応えは当てにならない

2回目に読む文章はすらすら読めるので、それだけで覚えたと感じてしまいます。 すらすら読めることを覚えたことと取り違えるこの錯覚は、流暢性の錯覚と呼ばれます。

読み返すと手応えは高いが後の成績は低く、思い出すと手応えは低いが後の成績は高いことを示す概念図
手応えと、あとの成績が逆になる(数値のない概念図)

安川の本と、畔柳圭佑『記憶はスキル』は、先ほどとは別の研究を紹介しています。 文章を繰り返し読む学生と、読んでから何も見ずに思い出す学生などに分けて比べた研究です。 繰り返し読んだ学生ほど「よく覚えた」と答え、思い出す練習をした学生は自信がありませんでした。

それでも、1週間後のテストでは思い出した学生のほうが上でした。 少し苦労して思い出すほうが、楽に読み返すより記憶に残ります。 この考え方は、望ましい困難と呼ばれています。

だから、書き出すときの「思ったより書けない」というつらさは、効いていないしるしではありません。

やり方

このページが勧めるのは、1節を読んだら閉じて白い紙に書き出し、教科書で確かめ、翌日と1週間後にもう一度書き出す流れです。

1節を読む、閉じて白い紙に書き出す、教科書を開いて確かめる、書けなかった所を読み直して再び書き出す、そして翌日と1週間後にまた書き出す流れを示す図
その日の流れと、日をあけた2回
  1. 範囲を小さく区切って読む。 教科書なら1節、英単語なら20個です。
  2. 教科書を閉じ、覚えていることを白い紙に書き出す。 箇条書きでも図でも構いません。字はきれいでなくてよく、単語なら意味を見て綴りを書きます。
  3. 教科書を開いて確かめる。 書けなかった所と、間違えた所に印を付けます。
  4. 印の所を読み直し、もう一度閉じて書き出す。 全部を1回は自力で書けたら、その日は終わりです。
  5. 翌日と1週間後に、同じ範囲をもう一度白い紙に書き出す。 確かめ方は3と4と同じです。

日をあける間隔は本によって違いますが、このページでは、多くの本が挙げる「翌日」と「1週間後」を最初の値にします。 その後の間隔は、分散学習のページで決め方を説明しています。

このページが白い紙を勧めるのは、何も見ずに取り出したことを、後から目で確かめられるからです。 問題集を解く、カードの表を見て裏の答えを書く、人に説明する、でも同じ働きをします。 どれを選んでも、何も見ずに記憶から取り出すことは変えません。

うまくいかないとき

ほとんど書けないときは、手がかりを1つずつ足す

すぐに教科書を開かず、まず自分で「何だっけ」と考えます。 それでも出てこなければ、章の見出しや単語の頭文字のような小さな手がかりを1つだけ見ます。 手がかりでも出てこなければ答えを見て、閉じてからもう一度書きます。

書けないときは、まず自分で考え、見出しや頭文字を1つ見て、それでもだめなら答えを見て、閉じてもう一度書くという順番を示す図
答えを見るのは最後にする

毎回ほとんど白紙のままなら、範囲が広すぎるか、まだ内容を理解していない可能性があります。 範囲を半分に区切るか、先に一度ていねいに読んで理解してから書き出します。

白い紙を前に手が止まるときは、問題の形に変える

何もない紙に向かうのは負荷が高く、続けにくいやり方です。 手が止まるなら、問題集を解く、教科書の太字を隠して意味を答える、といった問いのある形に変えます。 どの形でも、何も見ずに答えを出す作業であれば効果は期待できます。

読み返す時間が減って不安なときは、読む合間に思い出す

読み返しやマーカーを、すべてやめる必要はありません。 見出しを見たら本文を読む前に中身を思い出す、1ページ読んだら顔を上げて今の内容を思い出す、という形で、読む途中に取り出す作業を挟みます。

書けなくて嫌になるときは、書けなかった数を「今日読み直す量」と考える

最初は思ったより書けないのが普通です。 書けなかった所は失敗ではなく、その日に読み直す場所を教えてくれた所です。 同じ範囲を翌日と1週間後に書き出すと、書ける量は増えていきます。

よくある失敗

  • 書き出す前に、教科書や答えをちらっと見てしまう。見た時点で、取り出す練習ではなくなります。
  • 1回書けた単語やカードを、すぐ束から外してしまう。正解したものも、翌日と1週間後にまた書き出します。
  • 覚えた直後に、同じ単語を数分のうちに何度も続けてテストし、その日で終わりにする。続けざまのテストは、日がたつと残りにくくなります。
  • 見本を見ながら何度も書き写して、覚えた気になる。写すなら、一度頭に入れてから見ないで書きます。
  • 見た直後に数語だけ隠して書くような、苦労しない思い出し方で済ませる。少し考えないと出てこない量を区切ります。
  • 「もう覚えた」という手応えで勉強をやめる。やめるかどうかは、白い紙に書けたかどうかで決めます。

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