試験の前の晩に詰め込んだ英単語が、1週間たつとほとんど出てこない。 一度にまとめて覚えた記憶は、早く消えていくからです。 このページでは、勉強した日に思い出せるところまで仕上げ、翌日・1週間後・1か月後に、同じ範囲を何も見ずに思い出すことを勧めます。
ひとことで
分散学習は、同じ内容を一度にまとめて勉強せず、日をあけて何回かに分けて学び直す方法です。 間隔反復とも呼ばれます。 反対に、一夜漬けのように間をあけずに続けて勉強するやり方は、集中学習と呼ばれます。
なぜ効くか
まとめて覚えた分はすぐに消え、日をあけて思い出し直した記憶は、回を重ねるごとに消えにくくなるからです。 間があくと思い出すのに少し苦労することも、記憶を強くすると考えられています。
詰め込んだ分は、試験が先になるほど消えていく
一夜漬けは、次の日のテストには効くことがあります。 ただ、その効き目は長く続きません。
安川康介『科学的根拠に基づく最高の勉強法』が紹介している研究では、アメリカの大学生にスペイン語の単語を覚えてもらいました。 大学生は、1日にまとめて学んだ組、1日おきに復習した組、30日おきに復習した組の3つに分かれています。 30日後のテストでは、まとめて学んだ組がいちばん低く、間隔を長くあけた組ほどよく覚えていました。
上の図の右側は、この30日後のテストにあたります。 左側は、明日がテストならまとめて覚えるのも効く、という複数の本の説明を形にしたものです。
その場で練習を重ねた分の上乗せも、長くはもちません。 竹内龍人の『実験心理学が見つけた 超効率的勉強法』と『進化する勉強法』が紹介している実験では、内容を理解した後もその場で続けて練習した組が、続けなかった組の4倍の問題を解きました。
1週間後のテストでは続けて練習した組がはっきり上でしたが、3週間後には2つの組の差がなくなっていました。 どちらの組も、日をあけた復習はしていません。
入試や資格試験は、勉強した日から何週間も、何か月も先にあります。 だから、その場の出来より、後まで残るやり方に時間を使います。
思い出し直すたびに、忘れ方がゆるやかになる
覚えたことは、覚えた直後に急に忘れ、その後はゆるやかに忘れていきます。 この忘れ方を時間に沿って描いたものは、忘却曲線と呼ばれます。
一度覚えたことは、忘れたように見えても、初めて覚えたときより短い時間で覚え直せます。 しかも、覚え直すたびに、次に忘れるまでの時間が延びていきます。 復習のたびに「また忘れている」と感じても、覚え直しにかかる時間は回を重ねるごとに短くなります。
忘却曲線の数字は、何を測った数字かの説明が本によって違うので、このページでは形だけを使います。
少し忘れかけたころに思い出すと、記憶が強くなる
覚えた直後にくり返すと、答えがすぐに出てくるので、ほとんど苦労しません。 間をあけると少し忘れかけているので、思い出すのに手間がかかります。 この手間が記憶を強くする、という考え方を、安川の本や堀田秀吾『絶対忘れない勉強法』、粂原圭太郎『京大首席合格者が教えるとまらなくなる勉強法』が紹介しています。
だから、その日のうちに何度もくり返すだけでは足りず、日をあけた復習が要ります。
やり方
このページが勧めるのは、勉強した日に思い出せるところまで仕上げ、翌日・1週間後・1か月後に、同じ範囲を何も見ずに思い出す流れです。
- 勉強した日に、何も見ずに思い出せるところまで仕上げる。 教科書を閉じて白い紙に書き出し、確かめて、全部を1回は自力で書けたら終わりです。
- 手帳に、翌日・1週間後・1か月後の日付と範囲を書く。 気が向いたときに復習するのをやめ、復習の日を先に決めておきます。
- 翌日、同じ範囲を何も見ずに思い出す。 書き出すか問題を解き、教科書で確かめます。出てこなかった所は読み直し、もう一度何も見ずに思い出します。
- 1週間後と1か月後にも、翌日と同じことをする。 範囲は最初の日と同じにし、前の回で出てきた所も外しません。
- 1か月後にも出てこなかった所だけ、また日をあけて思い出す。 出てきた所は、そこで復習を終えます。
復習の間隔は本によって違いますが、このページでは「翌日・1週間後・1か月後」を最初の予定にします。 翌日と1週間後は調べた本の半分ほどが復習の日に挙げていて、1か月前後をその次の回に挙げる本も複数あるからです。
復習の中身は、読み返すより、何も見ずに思い出す形にします。 何も見ずに思い出して書き出すこの方法はアクティブリコールと呼ばれ、書き出し方や、書けないときの手がかりの足し方はそのページで説明しています。
うまくいかないとき
復習が増えて新しい範囲が進まないときは、勉強の最初の時間を復習に使う
続けていると、翌日の分、1週間後の分、1か月後の分が同じ日に重なります。 勉強を始めたら、まずその日に当たる復習を済ませ、残りの時間で新しい範囲に進みます。 復習では、すぐ出てきた所は確かめるだけにして、出てこなかった所に時間を回します。
予定の日に復習できなかったときは、気づいた日にやる
1日や2日ずれても、日をあけて思い出す効果は残ります。 予定どおりにいかなかったからと計画ごとやめるほうが、ずっと損です。 細かい予定より、続けられる予定を選びます。
試験まで1か月ないときは、最後の1回を試験の数日前に置く
試験が近いほど、復習の間隔は短くてよいと考えられています。 このページでは、1か月後が試験より後になる範囲は、その回の代わりに試験の数日前に思い出すことを勧めます。 反対に試験が半年先のように遠ければ、1か月後の後も、間をあけて思い出す回を足します。
明日が試験のときは、覚える量を絞って眠る
時間がなければ、詰め込むしかありません。 そのときは、似た内容を大量に覚えようとせず、確実に覚えられる量に絞ります。 徹夜はせず、少しでも眠ってから試験に向かいます。
まとめてくり返したほうが覚えた気がするときは、翌日に確かめる
その日のうちに何度もくり返すと、答えがすらすら出るので、よく覚えた気になります。 日をあけた復習は、思い出すのに苦労するぶん、効いている手応えが薄いやり方です。 手応えで決めず、翌日に何も見ずに思い出せるかで確かめます。
よくある失敗
- 勉強した直後に同じ問題を何度も解き、「できた」と思ってその日で終える。翌日より後に思い出す回がないと、試験の日までは残りません。
- 復習が、教科書やノートを読み返すだけになっている。読むだけでは、思い出す練習になりません。
- 暗記カードを数枚ずつの小さな束に分けて回す。大きな1つの束にすると、同じカードに戻るまでの間が長くなり、少し忘れかけたところで思い出すことになるので、よく覚えられます。
- 試験の前にしか勉強しない。範囲を学んだその日に、復習の日を手帳に書き込みます。
- 似た英単語を続けてまとめて覚え、意味が混ざってしまう。単語の合間に文法や長文読解をはさみます。
関連する方法と悩み
- アクティブリコール:復習の回に、何も見ずに思い出すやり方。
- ポモドーロテクニック:勉強を短く区切り、最初の1回を復習に使う。
- 読書ノート:読んだ本も、章ごとに日をあけて思い出す。
- 先延ばし癖を直したい:試験の直前まで手がつかないときに。
- 勉強を習慣にしたい:毎日の復習を続ける仕組みを作る。
- 勉強のやる気が出ない:その日に当たる復習の1回分だけから始める。