本を読み終えて1週間もすると、何が書いてあったか人に話せなくなっている。 線を引いた本を開き直しても、なぜそこに引いたのか思い出せない。 このページでは、読みながら線を引いて理由を一言書き、読み終えた日に線の所を読み直して5か所に絞り、それぞれの下に自分の言葉を1行添えるやり方を勧めます。

ひとことで

読書ノートは、読み終えた本の線を引いた所から大事な数か所を選んで書き写し、自分の言葉を添えて残す方法です。 読書メモや抜き書きとも呼ばれます。 写した所ごとに、自分がどう考えたかを1行書くのが、ただの書き写しとの違いです。

読みながら本に線を引き、読み終えた日に線の所から5か所を選んでノートに書き写し、それぞれの下に自分の言葉を1行添えることを示す図
線の所を5か所に絞り、自分の言葉を添える

なぜ効くか

写した文を自分の言葉に置き換える作業と、書く所を選ぶために本を読み直す作業が、内容を頭に残すからです。 そのうえ、書こうとして手が止まる所で、分かったつもりの箇所にも気づけます。

あとのテストの成績は、書き写すだけだと読むだけと変わらず、要約したり自分の言葉で言い換えたりすると読むだけより高いことを示す概念図
書き写すだけでは、読むだけと変わらない(数値のない概念図)

効くのは書き写しではなく、下に添える自分の言葉の1行

このページのノートで効き目を担うのは、書き写した所の下に添える自分の言葉の1行です。 書き写しだけでは、ただ読むのと変わらないからです。

勉強法の本、安川康介『科学的根拠に基づく最高の勉強法』で紹介されている研究では、同じ2000語ほどの文章を読んだアメリカの高校生を、4つの勉強のやり方に分けました。 大事な文をそのまま書き写す、大事な文を自分の言葉で言い換える、ページごとに3行で要約する、読むだけ、の4つです。 直後と1週間後のテストで、書き写した生徒は読むだけの生徒と同じくらいの点で、言い換えた生徒と要約した生徒はどちらも読むだけの生徒より上でした。

書き写すのは、意味を分かっていなくても手が動く作業です。 自分の言葉に直そうとすると、中身をつかんでいないと1文も書けません。 読書術やメモの本の多くも、本の文を写すだけのノートを戒め、写した所に自分の考えを添えるよう勧めています。

書く所を選ぶことが、2回目の読書になる

5か所に絞ろうとすると、線を引いた所を全部読み直して、どれを残すか比べることになります。 読み終えてから印の所に戻って書く所を選ぶ手順は、読書術の本でくり返し勧められています。 初めに通して読んだときより短い時間で、本の大事な所をもう一度たどれます。

書こうとすると、分かったつもりの所が見つかる

読んだ直後は、本の話がすべて分かったような気がします。 ところが要点を自分の言葉で書こうとすると、手が止まる所が出てきます。 そこが、読んだのに頭に入っていない所です。

やり方

このページが勧めるのは、読みながらは線と一言だけにして、読み終えた日にまとめて書き、翌日と1週間後に見ずに思い出す流れです。

読みながら線を引いて理由を一言書く、読み終えた日に線の所を読み直す、5か所に絞って書き写す、それぞれに自分の言葉で1行書く、本全体を1文にまとめる、までを30分で終え、日をあけて翌日と1週間後に見ずに思い出す流れを示す図
読み終えた日の30分と、日をあけた2回
  1. 読みながら、残したい文に線を引き、余白に理由を一言書く。 線は単語だけに引かず、文の頭から終わりまで引きます。理由は「自分も試す」「ここは反対」のように数語で書きます。
  2. 読み終えた日に、線を引いた所だけを読み直す。 本を最初から読み直すことはしません。
  3. 線の中から5か所を選び、それぞれ数行までで書き写す。 書き写しは、次の4で自分の言葉の1行を書くための足場です。横に本のページを書いておくと、あとで本に戻れます。
  4. 書き写した所の下に、自分の言葉で1行書く。 最初は「賛成」「わからない」のような一言の判断にします。慣れてきたら、自分の勉強や仕事でやってみることを書きます。
  5. 最後に、本全体を1文にまとめる。 2の読み直しからここまでを30分で終えます。タイマーが鳴ったら、書きかけでもノートを閉じます。
  6. 翌日と1週間後に、ノートを見ずにその本の中身を思い出す。 思い出してから、ノートを開いて抜けていた所を確かめます。

読みながら気になった所を次々ノートに書き写すのは、やめておきます。 読み進まなくなり、途中で本を投げ出す原因になるからです。

反対に、楽しみのために読む本や、読んだらすぐ試す実用書は、ノートを作らず線を引いて読むだけで構いません。 作るのは、あとで内容を使いたい本や、仕事や試験で開き直す本です。 ノートを一切とらず、読んですぐ面白かった所を人に話せば足りる、とする本もあります。

書く量と時期は本によって違うので、このページでは次の値を最初に試します。 5か所は、読書術の本、山口周『読書を仕事につなげる技術』が基本にしている数です。 これより多いと書き写すのが嫌になって続かず、少ないほどどれを残すか真剣に比べるようになるからです。

30分は、読書術の本、佐藤優『読書の技法』が勧める長さです。 5か所に1行ずつ添える量なら、この時間に収まると見ています。 書くのを読み終えた日にするのは、線を引いた理由を忘れないうちに選び直すためです。

線だけを引いた本は、あとで見るとなぜ引いたか思い出せないが、線の横に理由を一言書いておくと、どこを残すかすぐ選べることを比べた図
線の横の一言が、あとで選ぶときの手がかりになる

線の横に一言書くのは、線や付箋だけだと、あとで見たときに何を感じて引いたのか分からなくなるからです。 これは、多くの本が共通して注意している点です。

ノートは紙を基本にします。 手で書くのは手間がかかるぶん、本当に残したい所だけを選ぶようになるからです。 パソコンのメモに変えるのは、前に書いた所が探せなくなったときだけです(下の「うまくいかないとき」で扱います)。

全部の本を同じ1冊に書いておけば、どの本の話をどこに書いたか探さずに済みます。 日をあける間隔は、アクティブリコール(何も見ずに思い出す練習)のページと同じく、翌日と1週間後を最初の値にしています。

うまくいかないとき

5か所に絞れないときは、自分が面白いと思った所を残す

線の所が20も30もあると、どれも大事に見えて選べなくなります。 著者が大事だと言っている所は、本を開けばいつでも読み直せます。 ノートに残すのは、自分が面白いと感じた所や、自分の勉強や生活に関わる所にします。

1行に何を書けばよいか分からないときは、問いを1つ立てて答える

書き写した所に「これは自分にも当てはまるか」と問いを立て、本を見ずに自分の経験から答えを書きます。 たとえば、勉強の時間の区切り方を読んだなら、自分の1日のどこで試せるかを1行で書きます。 本の話を自分の経験に当てはめると、写しただけの文が自分の言葉に変わります。

30分が重くて次の本に進めないときは、1冊1か所まで減らす

書くのが負担で読書そのものが止まるなら、量を減らします。 読書術の本には、1冊からいちばん響いた1文だけを選び、選んだ理由を30〜40字で書くやり方を勧めるものもあります。 大事な本だけ、5か所に戻せば十分です。

前に書いた所が探せないときは、検索できる場所に移す

ノートが何冊にもなると、あの本の話をどこに書いたか見つからなくなります。 読書術の本には、紙のノートでこれを何度も経験し、検索できるパソコンのメモに切り替えた著者もいます。 探せなくなったら、5か所と1行の形はそのままにして、書く場所だけをパソコンのメモに変えます。

よくある失敗

  • 本の文をきれいに書き写して、それで終わりにする。自分の言葉の1行がないノートは、読むだけと変わりません。
  • 線や付箋を付けて、理由を書かずに本棚に戻す。あとで開いても、なぜそこに印を付けたのか思い出せません。
  • 著者の置かれた状況だから成り立つやり方を、その前提を書かずに書き抜く。自分に当てはまるかを、下の1行で確かめます。
  • きれいで完璧なノートを作ろうとして、1冊に何時間もかける。ノートは本に戻るための入口なので、30分で書ける分で足ります。
  • ノートを読み返して、覚えた気になる。読み返すと文が見慣れてくるので、分かったと思いやすくなります。確かめるときは、先に見ずに思い出してからノートを開きます。

関連する方法と悩み

  • アクティブリコール:何も見ずに思い出す練習。手順6の思い出し方を詳しく扱う。
  • 分散学習:日をあけて何度か思い出す方法。1週間後より先は、どれだけ間をあけるかをここで決める。
  • ノートのまとめ方:授業や教科書のノートは、こちらのやり方で。
  • ポモドーロテクニック:25分の作業と5分の休憩をくり返す時間の区切り方。読む時間と書く時間を分けるのに使える。
  • 習慣化:読書ノートが続かないとき。