週末にまとめてやろうと決めたレポートに、日曜の夜になってもまだ手をつけていない。 先延ばしは性格がだらしないから起きるのではなく、先の得より目の前の楽を選びやすい人の性質から起きると、多くの本が説明しています。 このページでは、後回しにしている課題の最初の作業を「単語帳を開く」のような動作で1行書き、タイマーで5分だけやることを勧めます。
結論
後回しにしている課題の最初の作業を、動作の形で1行書きます。 キッチンタイマーを5分にして、その作業だけをします。 それでも動けないときは、下の5つの原因から当てはまるものを選び、その対処を足します。
5分にするのは、とりあえず5分だけ手をつける、5分でできる目標から始める、と勧める本が複数あるからです。
意志の力に頼らないのは、先延ばしのいちばん大きな原因が、目の前の楽しみに引かれやすいことにあるからです。 先延ばしの研究を紹介する本は、行動のすぐ後に起きる結果のほうが、何週間も先の結果より人を強く動かすと説明しています。 「動画が面白い」はすぐに得られ、「試験に受かる」はずっと先です。 だから、気合いを入れ直すより、すぐに終わる作業を目の前に置くほうが動けます。
原因を確かめる
5分でも動けないなら、課題のどこかに足が止まる理由があります。 次の5つのうち、当てはまるものが原因です。 いくつも当てはまるのが普通なので、当てはまったものから順に、下の対処を試します。
- 最初の作業が書けない:「最初に何をするか」を聞かれても、「〜を開く」「〜を1問解く」のような動作で答えられない。
- 失敗するのが怖い:「時間ができたらちゃんとやる」「どうせうまくいかない」と考えて、手をつけずにいる。
- スマホに手が伸びる:課題を後回しにしている間、スマホで動画やSNSを見ている。
- 締め切りがまだ先:その課題の期限が来週より先にあり、期限を知っているのが自分だけである。
- 考えるだけで気が重い:その課題を思い浮かべただけで、ため息が出る。
気分の落ち込みや眠れない状態が長く続く、何をしても手がつかない状態が続いて学校や仕事、生活に支障が出ている場合は、このページの方法で乗り切ろうとせず、学校の先生やスクールカウンセラー、職場の相談窓口、医療機関、公的な相談窓口に相談してください。
原因ごとの対処
最初の作業が書けないときは、動作で書けるまで細かく分ける
「卒業論文」「資格試験の勉強」のように、何から始めればいいか見えない課題は、それだけで面倒に感じます。 課題が大きいと、どこから手をつけるかを決めるだけで疲れてしまうからです。 だから、課題を、手を動かす動作の名前で書けるところまで分けます。
「レポート」と書いた予定からは、机に向かって何をするかが見えません。 「課題文を読み、問いを書く」まで分ければ、座ったらすぐにすることが決まります。 分けた作業は紙に書き出し、今日やる1つだけを選んで、ほかは紙に残したまま見ないようにします。
失敗するのが怖いときは、最初の目標を下げて先に出す
失敗が怖いと手が止まる、という点は多くの本が一致しています。 「どうせうまくいかない」と思うと、始める前から気が重くなるからです。
試験の前に限ってゲームに熱中するのも、点が悪かったときに「勉強しなかったせいだ」と言えるようにするためだ、という見方があります。 心理学でセルフ・ハンディキャッピングと呼ばれる行動で、なまけているように見えて、実は自分の評価を守ろうとしています。
対処は、最初の目標を、低すぎると感じるくらいまで下げることです。 英作文の課題なら、今日は言いたいことを日本語で3行書くだけにします。 できたら次の目標を少し上げ、出来は後から直せるので、粗くても期限までに一度出します。
勉強の前にノートをきれいにまとめ直そうとして手が止まるなら、まとめ直しをやめ、間違えた問題だけを集めるやり方に替えます。 作り方はノートのまとめ方に書いています。
スマホに手が伸びるときは、始める前に手の届かない所に置く
すぐに楽しいことは、先にある結果より強く人を動かします。 その場で我慢しようとするより、誘惑に負ける道を先にふさぐほうが確かです。
勉強を始める前に、スマホを別の部屋に置くか、家族に預けます。 手元にあると、開くかどうかを毎回自分で決めることになり、そのたびに我慢が要るからです。
スマホをタイマーに使うと手元に戻ってくるので、タイマーはキッチンタイマーか、パソコンで開くこのサイトのポモドーロタイマーを使います。 スマホを見てよい時間を決めておきたいなら、25分ごとに休む時間の使い方であるポモドーロテクニックの決め方がそのまま使えます。 4回目のあとの長い休憩だけスマホを見てよい、という決め方です。
締め切りがまだ先のときは、区切りを決めて人に言う
締め切りが遠いと、人はなかなか動きません。 仕事は与えられた時間いっぱいまで膨らむ、という「パーキンソンの法則」があります。 堀田秀吾『「すぐやる」超習慣』が紹介している実験でも、作業時間を多めに与えられた人ほど、ゆっくり作業しました。
最後の締め切りの前に、途中の区切りを置くと進み方が変わります。 竹内龍人『進化する勉強法』が紹介している実験では、1学期の間に3つの宿題を出す学生を3組に分けました。 1組目は、間隔をあけた3つの期限が前もって決められていて、自分では選べませんでした。 2組目は3つの期限を自分で決め、3組目は3つとも学期の最終日が期限でした。
宿題の出来は1組目がいちばんよく、2組目、3組目の順でした。 ただ、2組目のうち、3つの期限を間隔をあけて自分で決めた学生は、1組目と同じくらいの得点でした。 つまり、期限を自分で決めても、間隔をあけて途中に置けば、前もって決められた期限と同じくらい効きます。
このページが勧める「途中の区切りを自分で決める」は、この2組目の結果にもとづいています。
半年先の資格試験なら、「今週の金曜までに過去問の第1章を解く」のように週ごとの区切りを決めます。 決めた区切りの日付は、家族や友人、同僚の誰か1人に伝えます。 ザハリアデス『「先延ばしグセ」が治る21の方法』のように、やると誰かに約束すると、相手の期待に応えたくなってやり遂げやすい、と勧める本もあります。
暗記の多い試験では、区切りが特に効きます。 覚えるには日をあけて何度か思い出す時間が要り、直前にまとめてやっても間に合わないからです。 暗記の範囲は、区切りの日に終えたあとも、分散学習の記事の予定どおりに思い出し直します。 区切りの日にその範囲が終わったかどうかは、教科書を閉じて紙に書き出せるかで確かめます。 書き出し方は、思い出す練習であるアクティブリコールに書いています。
考えるだけで気が重いときは、好きなことを課題をしている間だけにする
気が重い課題には、やりたいことを組み合わせます。 好きなことを、その課題をしている間だけ許すやり方で、多くの先延ばしや習慣の本が勧めています。
好きな音楽は、問題集を解くときだけ聞きます。 駅前のカフェには、単語帳を持って行くときだけ行きます。 楽しみをその課題の中に置いておくと、手をつける理由が1つ増えます。
バーバラ・オークリー『数学脳のつくりかた』が紹介している研究では、嫌な気持ちは始める前の想像の段階がいちばん強く、取りかかると弱まっていきました。 だから、最初の5分はその重さがいちばん大きい時間だと考えて、タイマーが鳴るまでだけ続けます。
今日やること
- 後回しにしている課題を1つ選び、付箋に書く。
- その下に、最初の作業を「〜を開く」「〜を1問解く」のような動作で1行書く。
- キッチンタイマーを5分にして、その作業だけをする。
5分たったら、やめても続けても構いません。 やめるときは、次にやる作業と、それをやる日時を付箋に書き足して、机の前に貼ります。
よくある失敗
- 「時間がたっぷりある日に一気に片付けよう」と決めて、その日まで手をつけない。その日が来ても、課題の大きさは変わっていません。
- 本命の前に、机の片付けや調べ物のような小さな用事を始める。用事が終わるころには、本命に使う時間が残っていません。
- やることリストを長く書きすぎる。見るだけで疲れて、どれにも手がつかなくなります。
- 遅れを取り返そうとして、最初から目標を高くする。目標が高いほど手が止まり、遅れが広がります。
- 一夜漬けで乗り切れた経験を当てにする。暗記の多い試験では、直前の詰め込みは間に合いません。
- 先延ばしした自分を責める。責めるほど次も手がつかなくなるので、責める代わりに、次にやる作業と日時を付箋に書きます。