色ペンで板書をきれいに写したノートを見返したのに、テストでは答えが出てこない。 写す作業は、手が動いていても頭をほとんど通らないからです。 このページでは、ノートの右に自分の言葉で書き、左に問いを足し、右を隠して答えられる形にすることを勧めます。

ひとことで

ページを3つの欄に分け、右に内容、左に問い、下に要点を書くノートです。 右の欄には、授業中は単語でメモし、その日のうちに自分の言葉の文にします。 復習では右を隠し、左の問いに答えます。

ノートの右の広い欄に授業中は単語でメモしてその日のうちに文にし、左の細い欄に問い、下の欄に要点を書き、右を隠して左の問いに答えることを示す図
右に内容、左に問い、下に要点

上の図の形のノートを、コーネル式ノートと呼びます。 アメリカのコーネル大学で考えられた形です。

なぜ効くか

写すだけでは頭が働かず、自分の言葉に直すと記憶に残り、隠して答えるとそれが思い出す練習になるからです。

写すノートは板書からノートへ手だけが動き、自分の言葉のノートは板書を頭で言い換えてからノートに書くことを示す図
写すときは、頭を通らずに手だけが動く

写すだけのノートは、読むだけと同じ成績だった

安川康介『科学的根拠に基づく最高の勉強法』が紹介している研究では、アメリカの高校生が長い文章を4つのやり方で勉強しました。 そのまま書き写す、自分の言葉で言い換える、短く要約する、読むだけ、の4つです。 後のテストで、書き写したグループの成績は、読むだけのグループと変わりませんでした。

書き写しは、中身を分からないままでも手を動かせる作業です。 家庭教師として多くのノートを見てきた吉永賢一も、後で読んで意味が分からないノートは、板書や先生の話を聞こえたまま写したノートだと書いています。 自分で解釈していない言葉は、読み返しても頭に入りません。

自分の言葉で書くと、残る量が増える

同じ研究で、言い換えたグループと要約したグループは、書き写しや読むだけより高い点を取りました。 竹内龍人『進化する勉強法』が紹介している研究でも、大学生が生物のテキストを自分の言葉でノートに書き直したグループは、1週間後のテストで成績が上がりました。 読み直すだけのグループは上がりませんでした。

言い換えるときは、新しい内容を、すでに知っていることと結びつける作業が起きます。 東大家庭教師友の会の本は、この結びつけがあると、ただ繰り返すより長く覚えていられると説明しています。

左の問いに答えると、思い出す練習になる

ノートを読み返すだけでは、覚えたかどうかが分かりません。 読み返しは効果が低く、2回目からはほとんど効かないとする本もあります。 多くの本が勧めるのは、ノートの一部を隠したり、問題の形に直したりして、何も見ずに答えることです。

左の欄に問いがあれば、右を手で隠すだけで、その場で問題になります。 何も見ずに思い出すこの練習を、アクティブリコールと呼びます。 このノートでは、右を隠して左の問いに答えることがアクティブリコールにあたります。

やり方

このページが勧めるのは、授業中は右に短くメモし、その日のうちに文にして問いと要点を足し、右を隠して答える流れです。

授業中に右の欄へ単語でメモし、その日のうちに自分の言葉の文にして左に問いと下に要点を書き、右を隠して答え、答えられない問いに×を付け、日をあけて×の問いから答え直す流れを示す図
授業中、その日、日をあけての3段階
  1. ノートの左に縦線を、下に横線を1本ずつ引く。 右の欄を広く取り、左の欄は問いが1行書ける幅にします。
  2. 授業中は、右の欄に単語や短い文でメモする。 教科書を見れば分かることは写しません。1行あけるくらいの余白を残し、後から書き足せるようにします。
  3. その日のうちに、右のメモを自分の言葉の文につなぐ。 先生が口で説明したことも、ここで書き足します。
  4. 左の欄に、右の内容が答えになる問いを書く。 「〜とは何か」「なぜ〜か」「〜の原因は」の形です。
  5. 下の欄に、その日の授業で先生が言いたかったことを1〜3行で書く。
  6. 右を手で隠し、左の問いに答える。 答えられなかった問いの頭に、ペンで「×」を書きます。
  7. 日をあけて、×の付いた問いから答え直す。 答えられたら、×の横に「○」を書き足します。日をあけて何度か復習するやり方を分散学習と呼び、いつ答え直すかは分散学習のページで決め方を説明しています。

授業中に仕上げようとせず、文にするのをその日のうちに回すのは、聞きながら書くと話が頭に入りにくいからです。

ページを区切るのが手間なら、教科書やプリントの余白に問いを書いても同じ働きをします。 線の位置は変えて構いません。 右に自分の言葉、左に問いという組を作り、隠して答えることだけは変えません。

うまくいかないとき

授業中に書くのが追いつかないときは、単語だけ残す

話を聞きながらメモを取るのは、頭にかなりの負担がかかります。 書くことに追われて話が入ってこないなら、メモは単語だけにして、話を聞くほうを優先します。 単語どうしをつなぐのは、その日の復習のときで間に合います。

問いが思いつかないときは、教科書の見出しと太字を問いにする

慣れないうちに、どこが大事かを自分で選ぶと、大事な定義を落としやすくなります。 最初は、教科書の見出しと太字の語を、そのまま「〜とは何か」の形に変えます。 慣れてきたら、「なぜ」「ほかと何が違うか」の問いを足します。

まとめノートを作りたくなったときは、間違えた問題だけのノートにする

別のノートを作るなら、問題集で間違えた問題だけを集めた1冊にします。 教科書の全範囲を、色ペンや図を使って別のノートに書き直すことはしません。 時間がかかるうえ、作り終えると覚えた気になり、隠して答える練習に回す時間がなくなるからです。

全範囲をきれいに書き直すと時間がかかり覚えた気になるが、教科書に書き込み、間違えた問題だけを集めて解き直すと、隠して答える時間が残ることを示す図
書き直すより、書き込んで集める

教科書や参考書は、すでに整理された形でまとまっています。 先生の説明や問題集で知ったことは、教科書のその内容が載っているページの余白に書き込みます。 そうすれば、調べ直すときに開くのは教科書1冊で済みます。

間違えた問題のノートも、問題と答えを分けて書き、答えを隠して解き直します。

パソコンやタブレットで取りたいときは、問いと答えの所だけ紙にする

講義の記録をパソコンで取るのは構いません。 ただ、覚えるための問いと答えは、紙に手で書くほうが記憶に残りやすいと、複数の本が研究を挙げて勧めています。 画面の写真やAIの要約を保存しただけだと、いつでも見られると思って覚えようとしなくなる、という本もあります。

よくある失敗

  • 色ペンを何色も使い分け、塗り分けに時間を使う。重要度は字の大きさや印で示せます。
  • 1ページにぎっしり書き、後から書き足す場所がなくなる。
  • 板書を写すのに追われ、先生の説明を聞いていない。
  • ノートを作り終えて満足し、右を隠して答える練習をしない。
  • 理解が浅いうちに自己流のまとめを作り、大事な所を落とす。最初は教科書の見出しに沿います。

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