教科書を3回読み、大事な所に線を引き、ノートもきれいにまとめた。それなのに、1週間後の小テストでは半分も書けない。 勉強の効率が悪いと感じるとき、足りないのは勉強時間より、時間の使い道であることが多いと、多くの勉強法の本が説明しています。 このページでは、勉強時間を増やす前に、読み返す時間を、教材を閉じて思い出す時間に替えることを勧めます。 それでも効率が上がらないときは、5つの原因から自分に当てはまるものを見分けて、やり方を1つ替えます。
結論
今日勉強した範囲の教科書を閉じて、覚えていることを白い紙に5分で書き出します。 書き終えたら教科書で答え合わせをして、書けなかった所に印を付け、翌日にもう一度、何も見ずに書き出します。 それでも効率が悪いと感じるなら、下の5つの原因のどれに当たるかを確かめて、やり方を1つ替えます。
原因を確かめる
勉強法や記憶の本が、時間のわりに身につかない原因として挙げるものは、次の5つに分けられます。 表の1行目と2行目は、上の結論の「閉じて書き出し、翌日にもう一度書き出す」で対処できます。
| 原因 | 当てはまるかを確かめる問い |
|---|---|
| 読み返す・線を引くのが勉強の中心 | 今日の勉強で、教材を閉じて何かを思い出した時間があったか |
| 一度にまとめて覚え、日をあけて復習していない | 1週間前に勉強した範囲を、何も見ずにどれだけ書き出せるか |
| ノートを写す・きれいにまとめる時間が長い | ノート作りにかけた時間と、問題を解いた時間のどちらが長いか |
| 試験に出る所を確かめずに進めている | 受ける試験の過去問を、1回分でも読んだことがあるか |
| 机にいる時間のわりに、手が動いていない | 最後の1時間に、スマホを何回手に取ったか |
いくつも当てはまるときは、このページでは表の上から順に1つずつ替えることを勧めます。 上の2つは結論の書き出しで直せるので、教材を替えずに今日から試せるからです。
ただ、原因がやり方より体調にありそうなときは、次の案内を先に読んでください。
眠気が強くて机に向かっても頭に入らない日が続く、気分の落ち込みが長く続くなど、生活に支障が出ている場合は、勉強のやり方で乗り切ろうとせず、学校の先生やスクールカウンセラー、医療機関、相談窓口に相談してください。
原因ごとの対処
読み返してばかりなら、教材を閉じて書き出す
読み返しと線引きは、かけた時間のわりに頭に残りにくいやり方です。 安川康介の『科学的根拠に基づく最高の勉強法』とアーリック・ボーザーの『Learn Better』は、どちらも、アメリカの心理学者ジョン・ダンロスキーらが、学習法についての研究を数多く集めて評価した報告書を紹介しています。 その報告書では、読み返すことと線を引くことの効果は低く、自分にテストを出して思い出す練習の効果は高いと評価されました。
つまり、同じ1時間でも、何に使うかで身につく量が変わります。 それでも読み返しに頼ってしまうのは、読み返すと「分かった」という手応えが得やすいからです。 2回目に読む文章はすらすら読めるので、覚えたように感じます。 この手応えと、実際に覚えている量がずれやすいことは、4冊の本が指摘しています。
だから、手応えに頼らず、何も見ずに書けた量で確かめます。 読み終えた範囲の教科書を閉じて、覚えていることを白い紙に書き出し、書き終えてから答え合わせをします。 思い出せずに手が止まるのは、やり方が合っている印です。 書き出しの手順と、出てこないときの手がかりの足し方は、アクティブリコールの項目にまとめています。
一度に詰め込んでいるなら、翌日と1週間後にもう一度思い出す
同じ範囲を一度にまとめてくり返すと、直後のテストには効きますが、日がたつと抜けていきます。 竹内龍人の『実験心理学が見つけた 超効率的勉強法』で紹介されている研究では、習った直後に練習問題をたくさん解いたグループは、1週間後のテストではよい成績でしたが、3週間後にはその差が消えていました。 試験まで日があるなら、同じ時間を何日かに分けたほうが、試験の日まで残ります。
このページでは、勉強した翌日と1週間後に、同じ範囲を何も見ずに書き出すことを勧めます。 分散学習の項目と同じ予定です。 1か月後の回の入れ方と、試験日から逆算した間隔の決め方は、そちらにあります。
ノートを写しているなら、隠して答えられる形に書き替える
教科書の文をノートにそのまま写す作業は、手は動いていても、頭はあまり使っていません。 安川の本で紹介されている、アメリカの高校生を対象にした研究では、大事だと思う文をそのまま書き写した生徒の成績は、文章を読んだだけの生徒と変わりませんでした。 色分けしたまとめノートは、作ると勉強した気になれても、時間のわりに頭に入らない作業だとする本もあります。
ノートはページを縦に2つに分け、右に自分の言葉で内容を書き、左に問いを足して、右を隠して答えられる形にします。 作り方はノートのまとめ方の項目にあります。
出る所を知らないなら、教科書より先に過去問を見る
入試や資格試験の勉強を、教科書の1ページ目から順に始めるのは、効率のよくない進め方です。 教科書はすべての分野を同じように扱っていて、試験によく出る順に並んでいるわけではないからです。 たとえば日本史では、入試でよく問われる近現代が教科書の終わりのほうにあり、そこまで手が回らないうちに試験の日が来ることがあります。
資格試験や受験の勉強法の本4冊が、勉強を始める前に過去問を見ることを勧めています。
始める前に過去問を見て、どんな問題が、どの分野からよく出ているかを確かめます。 見終えたら、よく出ている分野から教科書に戻り、その分野の過去問をくり返し解きます。 最初の1回は解かずに読み、どのくらい細かい答えが求められるかを知ることに使う、という本もあります。
合格に要る点が6割か8割かで、どこまで細かく覚えるかが変わるので、合格の基準も最初に確かめるよう勧める本もあります。
座っても手が止まるなら、スマホを別の部屋に置いて25分で区切る
机に向かっていた時間と、実際に手が動いていた時間には差があります。 ストップウォッチで集中していた時間だけを測ると、思っていたよりずっと短いことが多い、と書く本もあります。
その差を生む原因として多くの本が挙げるのは、スマホです。 安川の本と粂原圭太郎の本が同じ研究を紹介しています。 集中の要るテストを受けてもらったところ、スマホを別の部屋に置いた人の成績がいちばんよく、机の上やポケットなど手の届く所に置いた人は、使っていなくても成績が下がりました。 勉強の間はスマホを別の部屋に置き、タイマーを25分にかけて、鳴ったら5分休みます。
この区切り方はポモドーロテクニックの項目に、気がそれる原因の見分け方は勉強に集中できないときのページにまとめています。
今日やること
- 今日勉強した範囲の教科書を閉じ、タイマーを5分にする。
- 覚えていることを、白い紙に何も見ずに書き出す。
- 教科書で答え合わせをして、書けなかった所に印を付ける。
- 明日の同じ時間に同じ範囲をもう一度書き出す予定を、手帳かカレンダーに書く。
5分で何も書けなかったときは、教科書の見出しだけを見て、もう一度書き出します。
よくある失敗
- 線を引いた量や、まとめたノートのページ数で、勉強した量を測る。
- 「参考書を3周した」のように回数を数え、何も見ずに書けるかを確かめない。
- 身につかない分を、勉強時間を延ばして取り戻そうとする。延ばす前に、時間の使い道を替えます。
- 過去問を仕上げに取っておき、試験の直前まで開かない。
- 効率のいいやり方を探して、勉強法を毎週のように替える。1つに決めたら1か月は続けてから見直す、と勧める本もあります。
- 書き出しで思い出せないのが嫌になり、すぐ教科書を開いて読み返しに戻る。