本を1冊読み終えたのに、翌週には何が書いてあったか一言も言えない。 しおりが同じページに挟まったまま、何週間も本が机に置いてある。 読書術や勉強法の本の多くは、こうしたことは読む前と読む最中の進め方を変えれば防げると説明しています。 このページでは、読む前に知りたいことを1行書いて目次を2分読み、15分読むごとに本を閉じて、答えを1文で言う読み方を勧めます。

結論

本を開く前に、その本で知りたいことを1行書き、目次を2分読んで、答えがありそうな章に印を付けます。 印の章から読み始め、15分たったら本を閉じて、知りたいことへの答えを1文で言います。 言えなかった所だけ本を開いて確かめ、次の15分に進みます。 それでも残らない、進まないときは、下の問いで原因を確かめます。

知りたいことがないなら1行書いて目次を2分読む、途中で思い出さないなら15分ごとに閉じる、頭から全部読むなら印の章から読む、本が難しすぎるなら入門書を先に読む、という原因と対処の組を示す図
読んでも残らない原因と、それぞれの対処

原因を確かめる

読書術や勉強法の本が挙げる原因は、大きく次の4つに分けられます。 いくつ当てはまっても構いません。 当てはまったものから、下の対処を1つずつ試します。

原因 当てはまるかを確かめる問い
知りたいことを決めずに読み始めている 今読んでいる本で何を知りたいか、1文で言えるか
読み終えるまで一度も思い出していない 読んでいる途中で本を閉じ、内容を思い出したことがあるか
頭から全部を同じ速さで読もうとしている もう知っている話や、今の自分に要らない章も、飛ばさずに読んでいるか
本が今の自分に難しすぎる 数ページ読んでも、何の話か1文で言えないことが続くか

読んでいる途中でスマホに手が伸びて進まないなら、先に勉強に集中できないときのページの対処を試します。

文字を目で追っても頭に入らない状態が長く続く、勉強や仕事に支障が出ているなど、生活に困っている場合は、読み方の工夫で乗り切ろうとせず、医療機関や相談窓口に相談してください。

原因ごとの対処

知りたいことを決めていないなら、1行書いてから目次を2分読む

何のために読むかが決まっていないと、どの文も同じ重さに見えて、どこを覚えればよいか分からないまま進みます。 読む前に知りたいことを決め、次に目次で全体を見て、答えがありそうな場所の見当を付ける。 この順番は、読書術の本と、研究を紹介する本の両方で一致しています。

書くのは、「英単語を覚える時間を毎日どう作るか」「試験前の1週間に何をすればよいか」のように、答えが1文で出そうな問いです。 表紙や帯、前書きを見ても決まらないときは、その本を手に取った理由をそのまま1行にします。

目次は、章の見出しと小見出しを上から順に読み、問いに答えていそうな章の見出しに鉛筆で丸を付けます。 電子書籍なら、その章にしおりを付けます。 見出しから「この章ではこんな話をしそうだ」と予想してから読むと、外れたときに読みながら直すことになり、中身が頭に残りやすいとする本もあります。

このページでは、目次を読む時間を2分にすることを勧めます。 小見出しまで一通り目を通し、章に印を付けるところまで終えられる長さだからです。

途中で思い出していないなら、15分ごとに本を閉じて答えを1文で言う

読んでいるあいだは分かった気がしても、本を閉じて思い出そうとしなければ、中身はあまり残りません。 1回読んだだけの本を1週間後にほとんど覚えていないのは自然なことで、同じ日に読み返してもあまり変わらないだろうと述べる勉強法の本もあります。

読む前に知りたいことを1行書いて目次を2分読み章に印を付け、印の章を15分読んだら本を閉じて答えを1文で言い、言えない所だけ本を開いて確かめ、また15分読むことをくり返す流れを示す図
読む前の2つと、15分ごとにくり返す3つ

だから、読むのを区切りごとにいったん止めて、本を見ずに今読んだ所を思い出します。 思い出せなかった所だけ、本に戻って確かめます。 読書術の本でも、研究を紹介する本でも、多くがこの読み方を勧めています。

思い出すときは、本を閉じるか、目を閉じます。 開いたままだと、つい文字を目で追ってしまうからです。 言うのは、最初に書いた問いへの答えを1文だけです。 「要するに、〇〇だ」の形にすると、短くまとまります。

止まる間隔を、このページでは15分にすることを勧めます。 タイマーで区切れば、章が長い本でも短い本でも同じように止まれるからです。 読書術の本にも、15分を1回の区切りにしているものが複数あります。

この、何も見ずに思い出す練習はアクティブリコールと呼ばれ、アクティブリコールのページで詳しく扱っています。 1文を紙に書き出すと、どこを思い出せなかったかがはっきりします。 読み終えた本を翌日と1週間後にもう一度思い出すと、さらに残ります。 日をあけて何度か思い出すこのやり方は分散学習と呼ばれ、間隔の決め方は分散学習、読み終えた日に残すノートは読書ノートのページにまとめています。

頭から全部読もうとしているなら、印の章から読み、知っている所は速く進む

実用書や参考書は、最初のページから順に全部を読まなくて構いません。 この点は、多くの読書術の本で一致しています。 買ったのだから全部読もうとして、要らない章で手が止まり、そのまま本を閉じてしまうほうが損だからです。

目次で印を付けた章から読み始めます。 読みながら、もう知っている話は速く進め、新しい話や分かりにくい所ではゆっくり読みます。 読む速さを一定にせず、中身に合わせて変えるやり方は、研究を紹介する本も読書術の本も勧めています。

印の章を読んで問いに答えが出たら、その本はそこで閉じても構いません。 残りの章は、別の問いができたときに開けば足ります。

ただ、小説はこの読み方から外し、頭から順に読みます。 物語には流れがあり、目次から気になる章を選んで読むやり方は合わないと、小説を別に扱う読書術の本が複数あります。

本が難しすぎるなら、同じ分野の入門書を先に読む

読む速さと分かりやすさは、目の動かし方より、その分野をどれだけ知っているかで変わります。 この点は、研究を紹介する本と読書術の本で一致しています。

星友啓の本『脳が一生忘れないインプット術』で紹介されている研究では、速読の訓練を受けた人と普通の読者に文章を読ませ、内容の理解をテストしました。 誰も知らない専門分野の文章では、両者に差は出ませんでした。 一方、一般常識で中身を推し量れる文章では、速読の訓練を受けた人のほうが成績がよくなりました。

知っている分野の本は同じ時間で先まで読み進められ、知らない分野の本は少ししか進まないことを示す概念図
同じ時間で進む量は、知っている量で変わる(数値のない概念図)

つまり、速く読めるかどうかは、読む人が前もって知っている量に大きく左右されます。 数ページ読んでも何の話か分からない本は、読み方を工夫するより先に、同じ分野の入門書を1冊読みます。 入門書で言葉と全体の流れをつかんでから戻ると、同じ本が前より速く進みます。

速読の練習の効果は、本によって評価が分かれます。 このページでは速読の練習は勧めず、知っている量を増やして読む速さを上げるやり方を勧めます。

今日やること

  1. 読みかけの本を1冊選び、その本で知りたいことを1行書く。
  2. 目次を2分読み、答えがありそうな章に印を付ける。
  3. タイマーを15分にして印の章を読み、鳴ったら本を閉じて答えを1文で言う。

言えなかったら、その所だけ本を開いて確かめます。 明日、本を見ずにその1文をもう一度言えるかを試します。

よくある失敗

  • 目次を飛ばして、1ページ目から読み始める。どこに答えがあるか分からないまま、全部の文を同じ重さで読むことになります。
  • 同じ速さで淡々と読み進め、気づくと別のことを考えている。
  • 分からなかった所を、同じ日に何度も読み返す。読み返すより、本を閉じて思い出すほうが残ります。
  • 思い出せないと、すぐに本を開く。少し考えてから開くと、確かめた所が頭に残ります。
  • 線を引いただけで、読んだことにする。線を引いた所も、本を閉じて言えるかで確かめます。
  • 買った本だからと、要らない章まで全部読もうとして途中で止まる。
  • 基礎を知らない分野の専門書に、いきなり取りかかる。