英単語を10回声に出して読んだのに、テストで英単語を見ても意味が出てこない。 音読は、見ながら声に出して頭に入れる練習で、見ずに頭から取り出す練習にはなっていないからです。 このページでは、まず黙読で意味をつかみ、覚えたい所を区切って声に出して3回読み、本を閉じて声に出して言えるか確かめるやり方を勧めます。
ひとことで
音読は、文字を声に出して読むことです。 勉強では、意味が分かった英単語や用語、英文を、口と耳も使って覚えるために使います。 意味をつかむのは黙読、覚えるのが音読、覚えたかを確かめるのは閉じて言う練習と、役目を分けて使います。
なぜ効くか
声に出して読んだ語句は、黙って読んだ語句より思い出しやすいからです。 ただ、本を見ながら読むだけでは答えが目の前にあるので、閉じて自分で言う練習まで続けて初めて、テストで使える記憶になります。
声に出して読んだ語句は、黙読した語句より残りやすい
めろん『勉強法BEST100』が紹介している、心理学者のマクラウドらの研究では、単語の一覧を覚えるときに、黙って読む場合と声に出す場合を比べました。 声に出した単語のほうが、後のテストでよく思い出せました。 声に出すと、目で見るだけでなく、口を動かし、自分の声を耳で聞くことになります。
一方で、堀田秀吾『絶対忘れない勉強法』が紹介している研究は、音読が向く場面の限りも示しています。 大学生が小説の短い一節を音読か黙読で読んだところ、音読は文を一字一句そのまま覚えるのには役立ちましたが、効果は長く続きませんでした。 黙読は中身を整理して覚えるのに向き、こちらのほうが長く残りました。
つまり、音読が力を発揮するのは、英単語、用語、英文、古文のように、言葉そのものを覚える場面です。 この点は、勉強法と記憶の本の多くが一致しています。
見ながら読むだけでは、自分で答えを出す練習にならない
本を見ながら声に出しているあいだは、答えが目の前にあります。 畔柳圭佑『記憶はスキル』は、英単語を声に出して読むより、「acc_r_te」のように文字がいくつか隠された単語を見て自分で補うほうが覚えられると書き、それを確かめた研究を紹介しています。 2つの単語の組を、ヒントから自分で答えを出して覚えた人は、組を読んで覚えた人より、後で多く答えられました。
ワインスタインらの『認知心理学者が教える最適の学習法』も、小学生と中学生が科学の事実を学んだ研究を紹介しています。 文章を音読した組より、「なぜそうなるのか」という問いに自分で答えた組のほうが、成績が上でした。 音読は声を出しても、答えを自分で出す練習にはなりません。 だから音読で頭に入れたら、閉じて自分で言う練習につなげます。
音読は黙読より時間がかかる
声に出すと、黙読より読む速さが落ちます。 教科書の解説まで全部音読すると、同じ時間で読める量が減り、くり返す回数も減ります。 音読するのは、言葉のまま覚えたい所だけに絞ります。
やり方
このページが勧めるのは、黙読で意味をつかんでから、覚えたい所を区切って3回音読し、閉じて声に出して言い、言えない所だけ読み直す流れです。
- 覚えたい所を黙読し、訳や解説で意味の分からない所をなくす。 英文なら日本語訳を、用語なら教科書の説明を先に読みます。
- 意味のまとまりに区切り、意味を思い浮かべながら声に出して3回読む。 英単語なら単語と意味の組、英文なら1文か2文が1つの範囲です。
- 本を閉じるか手で隠して、声に出して言う。 英単語なら単語を見て意味を、用語なら説明を聞かれたつもりで答えます。
- 言えなかった所だけに印を付け、そこだけ音読してから、もう一度閉じて言う。 言えた所は、その日はもう読みません。
- 翌日と1週間後に、閉じて声に出して言えるか確かめる。 言えなかった所だけ、手順2から同じことをします。
意味が分かってから声に出す
意味の分からない文を何度音読しても、音が残るだけで、テストで使える形になりません。 勉強法の本の多くは、先に黙読や訳で意味をつかんでから、声に出してくり返すよう勧めています。 英単語なら意味を、歴史の用語なら何を指す言葉かを、読みながら頭に浮かべます。
3回読んだら、閉じて言う
何回音読するかは本によって違いますが、このページでは1つの範囲を3回にすることを勧めます。 3回を目安に挙げる本が複数あり、その後に閉じて言えない所だけを読み直すので、足りない分は後で補えるからです。
例えば英単語の「accurate(正確な)」なら、単語と意味を組にして3回声に出して読みます。 単語帳の意味の側を手で隠し、「accurate」を見て「正確な」と声に出して言います。 言えなければ印を付け、その単語だけをもう3回読んで、もう一度隠して言います。
日をあける間隔は、閉じて思い出す練習を扱うアクティブリコールのページと同じ「翌日」と「1週間後」にそろえます。 その後の間隔は、日をあけてくり返し思い出す分散学習のページで決め方を説明しています。
英語は、音声を聞いてからまねて読む
英語は、音声を聞いてから、その音をまねて音読します。 音声を聞きながら少し遅れて同じように言う練習はシャドーイングと呼ばれ、音読と並べて勧める本が複数あります。 文字だけを見て読むと、自己流の発音のまま覚えて、聞き取りにつながりにくいと書く本もあります。
うまくいかないとき
声を出せない場所では、口だけ動かすか黙読に切り替える
図書館や電車の中では、声を出さずに口だけ動かします。 口も動かせないなら黙読に切り替え、閉じて言う練習は頭の中で答えます。 口だけ動かす方法は、声に出すより効果が落ちるとする本もあります。
何度読んでも閉じると言えないときは、言えない所だけに絞る
範囲全体をくり返し読むと、言える所にも同じ時間を使ってしまいます。 言えた所は次の回から外し、印を付けた言えない所だけを読んで、閉じて言います。 それでも言えない英文は、意味の区切りごとに分けて、短い単位で読んで言います。
声に出しているのに中身が頭に入らないときは、手順1に戻る
英文を3回読み終えても日本語で中身を言えないなら、意味が分からないまま読んでいます。 いったん音読をやめ、訳や解説を黙読して意味をつかんでから、もう一度声に出します。 意味を思い浮かべながら読むと、音と意味が結び付きます。
解説や長い説明を覚えたいときは、黙読してから閉じて説明する
教科書の解説や、出来事の流れのような筋道は、音読より黙読のほうが向いています。 言葉をそのまま覚えるのではなく、中身を自分の言葉で言えればよいからです。 黙読して「なぜそうなるのか」を考えてから閉じて説明するやり方は、精緻化のページで扱っています。
黙読中に頭の中で音にするのをやめたいときは、速読の考え方を使う
黙読していても、頭の中で文字を音にしている感覚がある人は多いはずです。 これをやめる練習は、勧める本と、無理に抑えると理解が下がるとする本に分かれています。 評価が割れているので、このページでは手順に入れません。速く読みたいときの考え方は速読のページにまとめています。
よくある失敗
- 意味の分からない英文や用語を、何度も音読する。先に黙読と訳で意味をつかみます。
- 音読しただけで覚えたつもりになる。読んだ後に閉じて声に出して言い、言えるかを確かめます。
- 教科書の解説まで全部声に出して読む。時間が足りなくなるので、音読は言葉のまま覚えたい所に絞ります。
- 最初から書き取りで覚えようとする。書くのは音読より時間がかかり、くり返せる回数が減ります。